塾長ブログ

勉強は「楽しく」「長く続けられる」方法で。

生徒を「見習い勇者」「一人前勇者」と表現しました。そう、私はRPG(ロールプレイングゲーム)が好きです。

勉強はつまらないものでしょうか?いやいや、ゲームのように楽しくやる方法はあります。何より、飽きずに長く続けられることが大切です。

ラスボスを討伐(志望校に合格)する、君の物語。私はそれを支えていきたい。

「塾長ブログ」では、そういった私の思いや学習に関する新情報などを紹介します。

 

令和2年8月分

 ともえ塾の藤です。

 6月からブログを始めました。ここに記述する内容は、あくまで私の個人的な見解であることをご承知おきください。

 引き続き、「どうしたら子どもが勉強をするようになるのか」というテーマについて、私の考えを述べさせていただきます。

 テーマ:どうしたら子どもが勉強をするようになるのか


③なぜ勉強をしなければならないのか ー 勉強の必要性

 前回は、「どのようにして勉強に目的意識を設定するか」という問いに対し、子どもが勉強に将来を見据えた目的意識を設定すること自体が難しいと言わざるを得ないと結論づけ、次に考えることとして、将来を見据えた目的意識を設定できなかったとしても、必要性の認識はできるのではないかと提案しました。

 必要性の認識ができれば、物事に取り掛かる動機づけができるからです。ただし、やり続けていくモチベーションを保つための工夫が必要です。

 つまり、勉強の必要性を子どもが自分なりに納得した上で勉強を始めることができ、あとはそれを続けやすい環境があれば、「子どもが勉強をするようになる」というのが私の考えです。そのためには、まず「なぜ勉強をしなければならないのか」という疑問に対して、子どもが自分なりに納得できる答が必要であるという話をしました。

 今回の話に入る前に、今一度、本テーマで対象とする「勉強」という言葉の定義について確認をしておきます。本テーマで対象とする「勉強」は、「学習指導要領に基づき小中学校で学ぶ教科を学習すること」と定義しました。いわゆる、親が「勉強しなさい」と言っているやつです。

 広い意味で「勉強」に含まれる<習い事・スポーツ・知識習得・資格取得>等は、自ら既に目的意識の設定や必要性の認識をしていますが、本テーマで対象とする「勉強」については、前述のとおり、将来を見据えた目的意識の設定が難しいので、子どもがその必要性を納得できるような説明をしようということです。

 さて、本題に入ります。

 少々個人的な意見が過ぎるとは思いますが、私は、人間社会の中で生きていく上で必要不可欠なものは、「お金」だと思っています。人生はお金が全てだとは思っていませんが、人間社会で生きていく上でお金なんて全く要らないと主張する人はほぼいないと思います。

 お金を手にするためには、通常は、自分で事業を始めるか、就職して給料をもらうかのどちらかになります。日本の場合、自営業者は就業者全体の10%程度であり、大多数の就業者は雇われて給料をもらっています。

 そこで、会社に就職する場合を考えてみましょう。

 世の中にはいろいろな会社があり、仕事の内容、勤務条件、給与待遇どれも様々です。誰もが条件の良い会社に就職したいと考えるのは当然で、条件の良いところほど競争率は高くなるでしょう。

 どうすれば条件の良い会社に入社できるでしょうか。

 こういう場合は、逆の立場で、自分が社員を雇う側の人間だったら、どのようにして新入社員の採用を決めるかということを考えてみましょう。

 まず、社員を雇う側の人間は、社員の生活を守ることまで考えて会社経営をしていかなければなりません。社員の生活を守るための第一の要件は、事業活動を継続していくことです。いつ倒産するかわからない会社では、社員の生活が守られているとはいえません。

 事業活動を継続していくためには、大変な努力が必要です。常にコスト意識を持って利益を上げていかなければなりませんが、今時はコンプライアンス(法令遵守)を無視した経営はできません。サービス残業だらけのブラックな会社などは、すぐに明るみに出て叩かれてしまいます。

 常にコスト意識を持って利益を上げていく ー これを実現するのは会社の人材です。人材なくして事業活動は成立しません。

 そう考えると、社員を雇う側の人間としては、できるだけ有能な人材を採用したいというのは当然のことです。

 「有能な人材」とはいったい何でしょうか。

 雇う側の立場から見た「有能な人材」とは、「仕事ができる人」だと思います。もし、「大学入試の難問を解くことができる人」と「仕事ができる人」が完全に一致するならば、大学入試レベルの難問を入社試験に使えば「仕事ができる人」を採用することができますが、そもそも「大学入試の難問を解くことができる人」と「仕事ができる人」は本質的に異なり、完全に一致するものではありません。

 そうなると、雇う側の立場から、「仕事ができる人」を判断する方法を考えなければなりません。

 例えば、「半年間の実務」を入社試験とすることができるならば、その結果を見て、「仕事ができる人」を選ぶことは可能だと思います。しかし、実際にはそのようなことはできません。

 会社には、初めから正式の本採用としないで、一定の「試用期間」を設け、その期間中に能力や技能、勤務態度、性格などの適格性をみて、正式な社員として採用するかどうかを決める制度があります。しかし、これは長期雇用を前提としたものであって、雇用契約を結んだ上での試用期間であるため、もし解雇するとなった場合には、採用時の面接などでは知ることができなかった事実が試用期間中に判明した等の正当な理由が必要とされています。つまり、この試用期間を入社試験として使うことはできないのです。

 そうであれば、やはり何らかの試験や面接を行うしかありません。試験と面接だけで「有能な人材=仕事ができる人」を「確実に」選べるとはいえないまでも、「仕事のできる期待値が高い人」を「ある程度」選ぶことをせざるを得ないのです。

 入社試験にリクルート社が提供するSPI(Synthetic Personality Inventory/総合適性検査)を利用している会社は年間12000社を超えると言われています。このSPIは、大学入試のような難問や、知識・記憶力に頼るようなマニアックな問題が出題されるわけではありません。中学生レベルの国語と数学を主とした一般常識を基に、問題を理解し、論理的な思考や推理力等を働かせて正しい解答を導くような問題が出題されます。

 つまり、中学生レベルの学力(=このテーマで対象としている勉強により身に付けた学力)は、「一般常識」として入社試験において要求されているということです。問題を正しく理解して論理的な思考に基づき適切に答えることや、未知の課題に対して推理力や経験を基に解決に導くことは、仕事全般に求められる能力でもあります。

 もちろん、勉強の内容の全てがそのまま実生活で役立つわけではありません。古文や左手の法則を実生活の中で毎日のように活用することはありません。しかし、私はこういった内容を勉強することにも大いに意味があると考えています。これらはその知識自体が役立つというより、知らないこと(時には興味すら持てないこと)を自分なりに理解して、問題を解くためのスキル(技能)として身に付けていく過程が重要であると思います。それは、上述の「未知の課題に対して推理力や経験を基に解決に導くこと」そのものであり、仕事全般に求められる能力を鍛えることになると考えます。いわゆる「使える引き出しを増やす」ということです。

 実際に、高校入試の問題は、私が○年前に受験した時には知識を問う問題が多かったですが、今の高校入試の問題は、資料を読んで自分の考えを記述する問題等が増えており、「使える引き出し」が必要であることを痛感します。

 ここまで話を進めてくると、「雇われるために勉強を頑張るのなんて嫌だ」と考えて、雇う側の人間になることや、自分ひとりで事業を始めることを考える人もいるでしょう。確かに、雇用主に選んでもらうために勉強をする必要はなくなりますが、仕事全般に求められる「使える引き出し」は必要ですし、最初に申し上げたように事業活動を継続していくために並大抵ではない覚悟と努力が必要になるでしょう。

 まとめますと、私が考える「勉強の必要性」には2つあります。

 1つは、雇用主に「有能な人材」として選んでもらうためです。

 もう1つは、仕事全般に求められる能力を鍛える=「使える引き出し」を増やすためです。

 これ以外にも「勉強の必要性」をお考えの人はいると思いますが、私はこれらの2つのことを子どもが理解できる言葉で伝えることができれば、勉強に取り掛かる動機付けになると考えています。

 勉強に取り掛かる動機づけができれば、あとはそれを続けやすい環境が必要です。つまり、やり続けていくモチベーションを保つための工夫が必要だということです。

 次回は、「どうすれば勉強を続けることができるのか」ー やり続けていくモチベーションを保つための工夫について、私の考えを述べさせていただきます。