令和2年9月分
ともえ塾の藤です。
6月からブログを始めました。ここに記述する内容は、あくまで私の個人的な見解であることをご承知おきください。
引き続き、「どうしたら子どもが勉強をするようになるのか」というテーマについて、私の考えを述べさせていただきます。
テーマ:どうしたら子どもが勉強をするようになるのか
④やり続けていくモチベーションを保つための工夫 ー やり続ける意味について[その1]
前回は、「なぜ勉強をしなければならないのか-勉強の必要性」について、私の考えを述べさせていただきました。下記のとおり2つ挙げましたが、いずれも「今」ではなく「社会に出てから」の必要性ということになります。
1・・・雇用主に「有能な人材」として選んでもらうため。
2・・・仕事全般に求められる能力を鍛える=「使える引き出し」を増やすため。
「今」必要でなければ、そもそもこれらの必要性を受け入れることができないという人もいそうですし、必要性が理解できても、やはり「今」必要でなければ、やり続けていくモチベーションが保てないという人もいるでしょう。
誤解のないように、ここで改めて本テーマで対象とする「勉強」という言葉の定義について確認をしておきます。本テーマで対象とする「勉強」は、「学習指導要領に基づき小中学校で学ぶ教科を学習すること」と定義しました。いわゆる、親が「勉強しなさい」と言っているやつです。
これに対して、広い意味で「勉強」に含まれる<習い事・スポーツ・知識習得・資格取得>等は、自ら既に目的意識の設定や必要性の認識をして取り組み、自分が必要とする技能を習得できるよう努力していくものであるため、本テーマでは対象としていません。
さて、これからの話は、勉強の必要性に納得したという前提で、これをやり続けていくモチベーションをどのようにして保っていくかということについて、私の意見を述べさせていただきます。
中学生が勉強の直接的な成果として期待するのは、「高校入試に合格すること」だと思います。これは、保護者も同じでしょう。ともえ塾も「公立高校の志望校合格」を目的に掲げています。
中学3年生で部活を引退してからは、誰でも受験勉強に一生懸命になると思います。高校受験まであと半年という時期になれば、周囲がそういう空気になります。ここで急激に成績が伸びる生徒もいるでしょう。
しかし、部活を引退するまでろくに勉強しなかった場合、引退後に一生懸命勉強したとしても「間に合わない」と思われることが3つあります。つまり、勉強は1年生のうちからやり続ける意味があると考えます。
私が考える「間に合わない」と思われる3つの事柄は、
1.内申点
2.英語のリスニング
3.作文をはじめとする、自分の考えを表現する問題に対する回答
今回は、「1.内申点」についてお話をします。
福岡県の公立高校入試では、合格者の選定方法が「福岡県立高等学校入学者選抜要項」に定められ、毎年公表されています。といっても、抽象的な表現ではあるのですが、「調査書及び学力検査の序列がともに校長が定める一定数(入学定員以内)に入っている者をA群とし、その他の者をB群とする。」とされております。
いくつか用語がでてきましたので、説明いたします。
調査書・・・いわゆる内申書です。要項では、「中学校において作成し、志願先高等学校長へ提出する書類」とされています。
学力検査・・・本番の入試のことです。
序列・・・調査書の序列は、「第3学年における各教科の評定の数値の合計によって序列を定める」、学力検査の序列は「総点によって序列を定める」とされています。一見すると、調査書は1年生と2年生の成績は関係ないように思えますが、下の説明で、決してそうではないことがわかります。
校長・・・志願先高等学校長のことです。
A群・・・上述のとおり、「調査書及び学力検査の序列がともに校長が定める一定数に入っている者」であり、A群については、「調査書その他の資料に特に支障がなければ、入学予定者とする」と定められています。
B群・・・上述のとおり、A群以外の者です。しかし、下の説明のとおり、B群は不合格確定ではありません。
これらの用語を理解した上で、要項に定める合格の要件を読み解きます。
合格者は、まず、A群のうち調査書その他の資料に特に支障がない者。
また、A群の者のうち入学予定者とならなかった者及びB群の者については、「調査書の第3学年における各教科の評定の数値以外の記載事項を重視しながら、調査書の序列、学力検査の序列その他の資料をも精査し、総合的に選考して、A群の入学予定者と併せて、合否を決定する」とされています。
A群とB群の線引きを決めるのは志願先高等学校長なので、どのような比率に設定されるのかは分かりませんし、高校によっても異なると考えられます。しかし、常識的に、A群あるいはB群がほぼゼロになるような設定はされておらず、B群からの合格も一定程度あると考えられます。
B群の合格の要件を改めて確認します。まずB群は「A群以外」という定義がありますので、調査書の第3学年における各教科の評定の数値の合計の序列か、本番の入試の序列のどちらか、あるいは両方ともが、志願先高等学校長が定める一定数に入っていない者となります。
ここで問題となるのは、3年生の評定の合計値が優れていて、その序列が合格ラインに届いている生徒が、不運にも本番の入試で大きなミスをして、学力検査の序列が合格ラインに届かなかった場合です。これはB群になります。その逆も同様にB群ですが、そもそも3年生の評定の合計値が志望校の合格ラインに到達していなければ、おそらく志望校を変更することになる可能性が高いので、こちらはあまり起こりえないと考えます。
B群になれば、調査書の3年生の各教科の評定の数値「以外」の記載事項を重視しながら、入試の結果その他の資料も精査し、総合的に選考して合否が決定されます。調査書はもともと3年生に関する記載事項に重点が置かれたような様式となっていますが、当然1、2年生の頃の成績や活動記録も記載されています。これをどこまで参考にするのかは志願先高等学校長の判断によるのでしょうが、私は1、2年生の頃の成績が意図的に軽視されたり、むしろ1、2年生の頃は成績が悪い方が高評価を得られるというような考え方はないと思います。
そう考えると、勉強の成果として高校入試に合格することを期待するのであれば、やはり1年生の頃から納得のいく成績を残すべきだと思います。さらに言うと、調査書の各教科の評定の数値とは、学力検査を行う5教科だけでなく、音楽、美術、保健体育、技術・家庭の4教科も合わせた全9教科45点満点です。部活を引退してから勉強を頑張ればよい、と思い込むのは危険ではないでしょうか。理想論かもしれませんが、部活も勉強も両方頑張るのが正解だと思います。
これが、私が「間に合わない」と考える事柄の1つめです。
次回は、「間に合わない」と考える事柄の2つめ「英語のリスニング」について、私の考えを述べさせていただきます。