令和2年11月分
ともえ塾の藤です。
6月からブログを始めました。ここに記述する内容は、あくまで私の個人的な見解であることをご承知おきください。
引き続き、「どうしたら子どもが勉強をするようになるのか」というテーマについて、私の考えを述べさせていただきます。
テーマ:どうしたら子どもが勉強をするようになるのか
④やり続けていくモチベーションを保つための工夫 ー やり続ける意味について[その3]
これまでの話で、勉強の直接的な成果として「高校入試に合格すること」を期待する場合、中学3年生で部活を引退してから一生懸命勉強すれば間に合うか、という設問に対し、「間に合わない」と私が考える3つの事柄を示し、うち「内申点」「英語のリスニング」の2つについて私の考えを述べさせていただきました。
今回は、3つめの「作文をはじめとする、自分の考えを表現する問題に対する回答」について、私の考えを述べさせていただきます。
国語の作文も英語のリスニングと同様、私が高校入試を受験した頃にはありませんでした。いつから国語の作文が導入されたか正確にはわかりませんが、本屋で売られている過去10年分の過去問には全て作文があります。そして、英語のリスニングと同様、配点が高いです。60点中の15点、4分の1です。
前回の英語のリスニングの話題の際にも書きましたが、公立高校の難関校であれば、ボーダーラインは300点中240~260点となっていますので、5教科とも50点を上回るような点数でなければボーダーラインに達することができないと考えられるところ、作文の配点は15点もあります。これを捨てるという判断はできないでしょう。
何より、英語のリスニングは決められた時間が充てられていますが、作文は国語1教科で50分という試験時間の中で取り組まなければならないので、時間配分も考える必要があります。
公立高校入試の作文について、もう少し詳しく見ていきましょう。
まず、15点の内訳は、表記・構成・文字数など形式的な部分が5点、内容が10点とされています。
表記・構成・文字数など形式的な部分とは、次のとおりです。
・原稿用紙の正しい使い方に従って書いていること。
・文体が統一され、文法上の間違い、誤字、脱字などがなく、仮名遣い、送り仮名などに誤りがないこと。
・指定された行数で書いていること。
・指定された段落構成になっていること。
これら形式的な部分の5点は、内容の出来に関係なく採点される部分なので、作文の練習を積むほど精度が上がっていきます。何度か作文の練習をすれば、減点されることはほぼなくなると思います。
一方、内容については、この作文が単にテーマに沿った内容を自由に書くものではなく、指示に従って資料を読み取り、自分の意見を書くものであるため、文章力があるだけでは不十分です。
示された資料から指示に合致するネタを拾い上げる「着眼力=論点を見抜き、本質をつかむ力」、そのネタを文章に組み上げるための「構成力=文の順番、筋道の立った説明をする力」、説明文調で書き上げる「文章力=読み手にとってわかりやすい言葉で表現できる力」が総合的に必要となります。
これらは、何度か作文の練習をした程度で身につくものではないと思いますし、入試間近になれば暗記モノなど他にすることが増えてきて、作文に取り組む時間もなくなっていきます。早い時期から定期的に作文に取り組むのが理想的だと思いますし、日頃の学習の中でも着眼力、構成力、文章力を鍛えることはできると考えます。
そして、着眼力、構成力、文章力を鍛えるのに一番良いのは、自分の文章を他人に読んでもらうことと、他人の文章を読むことです。これは、批判し合うという意図ではありません。自分の考えを文章で他人にうまく伝えたり、他人の文章の良いところを吸収する機会を得るためのものです。
また、作文以外でも、自分の考えを書かせる問題が多くなってきました。
近年の福岡県公立高校入試では、国語・数学・理科・社会の各教科において、単に語句をあてはめたり、記号を選択する問題ではなく、自分で文章を書く問題が多く出題されています。
最新の令和2年度入試では以下のとおりでした。
[国語]
文字数を指定して「まとめて書け」「考えて書け」「語句を考えて書け」…14点
[数学]
確率「説明せよ」…4点
関数「過程を書くこと」…5点
平面図形「証明せよ」…5点
[理科]
「簡潔に書け」「○○という語句を用いて簡潔に書け」…23点
[社会]
「○○という語句を使って書け」…28点
「理由を書け」「理由を○○から読み取れることをもとに書け」…4点
「資料から読み取れることをもとにあてはまる内容を書け」…6点
国語は、作文15点に加えて、「書く問題」が14点で合計29点。60点の約半分です。
数学は、例年、得点率5%を切るような図形の計算問題が出題されますが、その配点は4点程度です。それと同等以上の配点が、「書く問題」に与えられています。
理科は、「書く問題」が60点の3分の1以上。これに加えて、グラフ作成や簡易作図を求める問題などがあります。
社会は、「書く問題」が60点の3分の2近くに達しています。これは国語の作文同様、資料が示されており、それを的確に読み取った上で書かなければなりません。
「書く問題」は、文章自体は短いながらも、前述の作文と同様、着眼点、構成力、文章力が要求されます。入試本番までに一度も過去問を解かないという人はいないと思いますが、早い時期から学習に取り組んで、着眼点、構成力、文章力を鍛えておくべきだと考えます。
そして、これらの力は暗記モノと違って、この先、進学したり社会に出てからも役に立ちます。大学生や会社員になれば、レポートを書く機会が増えます。文学作品のような文章を書く必要はありませんが、論点が整理された読みやすいレポートでなければ、最悪の場合、ちゃんと読んでもらえないことだって考えられます。
入試対策であると同時に、勉強の必要性の1つ「仕事全般に求められる能力を鍛える=使える引き出しを増やす」ことに該当するものだと考えます。
ここまで3回に分けて、「やり続ける意味」について私の考えを述べてきました。
この先、やり続けていくモチベーションを保つ工夫として、ともえ塾で実施していることを紹介していこうと考えていますが、次回はひと休みして、私が小学生の時に授業中のクラスメイトの発言に感銘を受けた件について、お話ししたいと思います。