令和2年12月分
ともえ塾の藤です。
6月からブログを始めました。ここに記述する内容は、あくまで私の個人的な見解であることをご承知おきください。
これまで、「どうしたら子どもが勉強をするようになるのか」というテーマについて私の考えを述べてきましたが、今回はひと休みして、私が小学生の時に授業中のクラスメイトの発言に感銘を受けた件についてお話ししたいと思います。
「感銘を受けた」と書くと大げさに聞こえるかもしれませんが、私がこれまでの人生の中で一番印象に残った言葉であるのは間違いありません。
まず、その背景からお話ししていきます。
確か小学4年生の頃だったと思います。算数で「面積」を初めて習った日のことでした。先生がクラスの生徒に「面積って何ですか?」という質問をしました。何人かの生徒が口々に「広さです。」「たて×よこです。」と答えました。私も、それで正しいと思いました。多少表現を変えたとしても、それ以外の答が出てくるとは、今でも考えられないと思います。
そこでさらに先生が「他にありますか?」と尋ねました。その意図は今となってはわかりませんが、他にあったとしても表現の違い程度だと思っていたので、クラスナンバーワンの秀才であるS君が、そのタイミングで手を挙げたこと自体にすごく驚いたのを今でも覚えています。そして、小学4年生とは思えない発言をして、私は感銘というか衝撃を受けました。
「面積とは、面の広さを、掛け算の答つまり積で計算したものです。」
この発言を先生がどのように評価したかなど、少しも覚えていません。当時の私にとっては、S君が教科書にも書いてないようなことを発言して、とにかくすごい人だと思っただけでしたが、その後、「面積」という言葉を目にするたびに、この言葉を思い出し続けてきました。
今、「面積」をWikipediaで調べると、「面積とは、平面内の、あるいは曲面内の図形の大きさ、広さ、の量である。」と書いてあります。これは簡単に言えば、「広さです。」と何ら変わりません。
「面積 語源」で検索すると、Yahoo知恵袋に「積という語は、二つ以上の数を掛け合わせた数値という意味がある。だから、縦×横で求められる面の広さ=面積」という記述がありました。これこそ、当時のS君の発言と同様の内容ですが、私的にはS君の発言の方が洗練されていると思います。
今でなら、インターネットで調べれば、こういった情報を簡単に見つけることもできますが、40年以上前のことなので、当然そのような手段はありません。
考えられるのは、S君が自分で考え及んだか、本で読んだか、誰かに教わったかぐらいしかありません。自分で考えたものでなかったにしても、小学4年生のS君が内容を完全に理解し、自分の言葉で説明したということに、今でも驚かずにはいられないのです。
私は、生徒の心にずっと残るような何かを教えていきたいと思い、塾を開業しましたが、S君のことを思い出すたびに、初心に帰り、自らの心に炎を灯すことができます。
小学4年生の時の同窓会などあるはずもなく、今、S君が何をしているか、私は知りません。単なるクラスメイトで、放課後に遊んだりしたこともなかったので、小学校卒業後にS君が私のことを思い出すことなど一度もなかっただろうと思います。
でももし、S君に会える機会があったら、私は感謝の気持ちを伝えたいと思います。
今年は、新型コロナウィルス感染症の影響により、4月に開業したものの、緊急事態宣言の発令に伴い直ちに休業し、6月からの授業開始となりました。
誰もが今までの日常を過ごすことができないような1年でしたが、いつか取り戻せる日が来ることを願っております。
皆さま、よい年をお迎えください。