塾長ブログ

勉強は「楽しく」「長く続けられる」方法で。

生徒を「見習い勇者」「一人前勇者」と表現しました。そう、私はRPG(ロールプレイングゲーム)が好きです。

勉強はつまらないものでしょうか?いやいや、ゲームのように楽しくやる方法はあります。何より、飽きずに長く続けられることが大切です。

ラスボスを討伐(志望校に合格)する、君の物語。私はそれを支えていきたい。

「塾長ブログ」では、そういった私の思いや学習に関する新情報などを紹介します。

 

令和3年2月分

 ともえ塾の藤です。

 ここに記述する内容は、あくまで私の個人的な見解であることをご承知おきください。

 引き続き、「どうしたら子どもが勉強をするようになるのか」というテーマについて、私の考えを述べさせていただきます。

 テーマ:どうしたら子どもが勉強をするようになるのか


④やり続けていくモチベーションを保つための工夫 ー ともえ塾で実施していること[その2]

 前回は、ともえ塾で実施していることの1つとして、「順位を出すためのテストはやらない」ことについてお話をさせていただきました。テストはやらずに、各生徒の理解度に合わせた問題を解いてもらっているわけですが、これは教える側が生徒の理解度を把握することはできるものの、生徒にとって勉強を続けるモチベーションを保つことにはなりません。

 今回から、各生徒の理解度をモチベーションに変換するための「理解度の見える化」について、私の考えを述べさせていただきます。

 この話は、「承認欲求」と密接に関係していると考えていますので、そのあたりの話から始めさせていただきます。

 まず、アメリカの心理学者アブラハム・マズロー氏が提唱した「人間の欲求5段階説」について簡単に説明いたします。

 これは、人間の基本的な欲求を「5段階のピラミッド」のような階層で表した理論です。基本的には、低階層の欲求から現れ、その欲求がある程度満たされると1階層上の高次な欲求を欲するようになるという説です。

 その5段階の階層とは次のようなものです。①が最下層、⑤が最上層です。

 ①生理的欲求:食べたい・寝たい

 ②安全欲求:安全・安心な暮らしがしたい

 ③社会的欲求:集団に属したい、仲間が欲しい

 ④承認欲求:褒められたい、認められたい

 ⑤自己実現欲求:あるべき自分になりたい

 順に説明していきます。①生理的欲求とは、人が生きていくための肉体的・本能的欲求であり、食欲・性欲・睡眠欲などが該当します。生命活動を維持するために不可欠な、必要最低限の欲求です。

 ①生理的欲求がある程度満たされると、次は自分の生命の安全を求めるようになります。②安全欲求は、いつ生活が脅かされるかわからない不安定な状態を脱し、秩序のある安心できる環境で暮らしたいという欲求であり、「衣食住」で言えば衣・住の部分に該当します。

 ②安全欲求がある程度満たされると、次は③社会的欲求の段階に進みます。これは「所属と愛の欲求」とも表現されており、集団に属したい、仲間や恋人が欲しいといった欲求です。この欲求が満たされない時、人は孤独感や社会的不安を感じます。人間が日々を暮らしていく中で、物質的な満足だけでなく、自分を受け入れてくれる他者の存在が必要であるということです。

 次の④承認欲求が、今回重点的にお話しする事項となります。

 これは、所属する集団の中で高く評価されたい、自分自身を価値ある存在として認めたいといった欲求です。これを獲得することがモチベーションになり、自分を成長させる原動力にもなるといわれています。

 この④承認欲求は、低位の承認欲求と高位の承認欲求に分類されています。前者は、他人に注目されたり称賛されたりすることを欲するもので、他者依存的な欲求です。一方、後者は、他人にどう見られるかではなく、自分が自分の中に設定した目標に照らして自分自身を承認するものです。

 ⑤自己実現欲求は、①~④の全てが満たされた上で、理想的な自己イメージと一致させていくことを欲するものです。

 なお、欲求といえば、現代社会においては「お金」をイメージすることも多いですが、「お金の欲求」というものは存在しません。「お金が欲しい」という欲求は、お金を手に入れた結果欲しいものは何か、ということで①~⑤のいずれかに分類されます。

 「しっかりご飯を食べたい」のであれば、①生理的欲求です。

 「安心できる場所に住みたい」のであれば、②安全欲求です。

 「恋人を作りたい」のであれば、③社会的欲求です。

 「他人に金持ちだと思われたい」のであれば、④承認欲求です。

 「自分を表現したい」のであれば、⑤自己実現欲求です。

 マズロー氏は、晩年に⑤自己実現欲求に続く6段階目の欲求として、⑥自己超越欲求というものを位置付けました。これは、個人の利益を超えて、同胞や社会のために貢献したいという欲求です。見返りを求めない慈善的な欲求がこれに該当します。

 さて、ブログのテーマであるモチベーションと主要な関連があるのは④承認欲求です。ブログを書くにあたり多くの記事を読みましたが、④承認欲求を的確に理解することも解説することも困難であると感じました。なぜなら、①~③の欲求は、物理的、外見的あるいは客観的にある程度充足度が把握でき、「満足な状態」というのがイメージできますが、④承認欲求はそもそも内面的なものであること、欲求の結果として表れるはずの行動がその欲求の程度と必ずしも一致していないこと等から、客観的に充足度を量ることができません。そして、④承認欲求が低すぎるとモチベーションにつながらないという予測はできますが、どの程度高ければモチベーションの維持に最適であるかというのは、個々人によって違うはずで、一概にいえません。つまり、「満足な状態」というのが、私にはイメージできないのです。

 ④承認欲求につきましては、SNSの普及との関連や、自己顕示欲・自己肯定感との関連など、実に多くの記事がありますし、私もそれらのことについては考えるべきことがたくさんあると感じていますが、それは機会があればまた触れることとして、「勉強を続けていくモチベーション」との関連にしぼって話をしていきます。

 上述のとおり、④承認欲求には他者承認欲求と自己承認欲求がありますが、私は、勉強を続けていくモチベーションを健全に保つためには、自己承認欲求に訴えかける必要があると考えています。つまり、「自分にできる」という自信を持たせるということです。

 前回の話題とした「順位を出すためのテスト」は、例えば、平均点をクリアした人にとって他者承認欲求「他人から平均以上の人だと認められたい」を満たすことや、成績上位者にとって他者承認欲求「あいつスゲーって思われたい」や自己承認欲求「プライドを保ちたい」を満たすことはできると思いますが、集団全体で見ると、これらの欲求を満たせない人が必ず出現するので、テストを実施すれば心を折られる人も出てくるでしょう。

 私が目指しているのは、3年間勉強を続けていくモチベーションを保つことです。そのモチベーションを健全に保つためには、理解度を積み重ね式で示して、自分が頑張ってきたことを自分の目に見えるような形にすることが必要だと考えます。これが、自己承認欲求「自分にできる」を満たし、自信につながることだと考えます。

 長くなってきましたので、今回は「承認欲求」の話のところまでといたします。次回は、「理解度の見える化」、理解度を積み重ね式で示して、自分が頑張ってきたことを自分の目に見えるような形にするために、ともえ塾で実施していることについて、お話をさせていただきます。